5月8日、令和6年度の第1回定例講座が開催され、43名の会員が受講しました。今年度初めて講師をお願いする、鶴岡市郷土資料館館長補佐の今野章氏による、「鈴木重胤と交易について」というテーマです。
鈴木重胤は江戸時代末期の国学者ですが、全国に門人がいたために、その人脈を活かして商取引や物流にも関与していました。
そのひとつは「大山酒の江戸廻し」で、重胤は何度も大山を訪問して縁があったので、大山の酒の販路を江戸にも広げようとした大山の酒屋達が、重胤に斡旋を頼んだのですが、これは上手くいきませんでした。
また重胤は九州にも縁があり、薩摩藩と長州藩が直接交易をする斡旋の役を果たしました。西回りの北前船による松前産のニシン、数の子、昆布などを、大坂を経由せずに直接売りさばこうというもので、これには加茂の廻船問屋・秋野家が大きな役割をしていたと考えられます。薩長の直接交易は、のちの薩長同盟に先立つものでした。
このように鈴木重胤は、国学者としての専門を超えた役割も期待されていたことを、古文書の解説を交えながらお話ししていただきました。
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